映画カインの末裔
概要
『日本の裸族』『赤線』など常にショッキングな問題作を生み出し、独特のポップセンスで支持を集める奥秀太郎。
その異形の才能が川崎という町に刺激を受け描き出す世界に、最強のキャストが集まった。
自身も監督である渡辺一志が棟方役で主演、触れると壊れそうな繊細さと暴発寸前の凶暴さをあわせ持つ
新たなブロークンヒーローを生み出した。
棟方をじりじりと追いつめる川崎の住人を演じるのは田口トモロヲ、古田新太、内田春菊という日本を代表する実力+個性派の布陣!
ヒロインのゆかり役にはオーディションで抜擢された楊サチエ。奥作品ではおなじみの小松和重、今奈良孝行の一味違うシリアスな表情も見逃せない。
現実と虚構、愛撫と暴力、繊細と大胆…2つの極の間を激しく行き来する映像が、現在進行形の日本の姿を映し出す。
工場の煙突から吐き出される煙、はんだごてから立ち上る蒸気、排ガスと埃で濁る空気、全編川崎ロケのインダストリアル・ランドスケープは圧巻!
ストーリー
舞台は、戦後日本の経済成長を象徴する工業都市・川崎。
医療少年院で孤独な10年間を過ごした棟方(渡辺一志)は、貨物列車で石灰石が運び込まれるように電子部品を組み立てる小さな工場へたどり着く。牧師の松村(田口トモロヲ)、従業員の毛(古田新太)、下請け工場主の妻(内田春菊)、松村の娘ゆかり(楊サチエ)、善良そうな人間に潜む醜さや当たり前の日常を支える不条理が次々と浮き彫りになっていく中、テレビリモコン型改造拳銃の製造という秘密の仕事を命じられた棟方。彼によって生み落とされたピストルは、この町の歯車を狂わせていく……
どれだけ償えば青い空を見ることができるのか。内に秘めたエネルギーをどこにも向けることができない棟方の絶望が、灰色の空の下をさすらう。
奥秀太郎は、人間が堕ちた状態について独自の観念を持ち、映像の中で人生の汚れた部分をぐさりと突きつける。映画全体を通しての教訓があるにしろないにしろ、グロテスクなユーモアとダークな幻想が描かれているのは確かだ。妄想が異形の怪物を生み出す様は、デビット・リンチの『イレイザーヘッド』を彷彿させる。奥のつくりだすビジュアルは素晴らしい。そしてさらに怖いもの知らずで大胆な俳優陣がより映画を刺激的なものにしている。渡辺(彼自身も優れた監督であり脚本家)が作品の核となっている。
- トニー・レインズ (映画評論家)
出演
棟方:渡辺一志
松村:田口トモロヲ
毛:古田新太
和江:内田春菊
ゆかり:楊サチエ
田村:岸建太朗
ナオジ:小松和重
大森:飯田孝男
説教師:今奈良孝行
スタッフ
監督・脚本:奥秀太郎
美術:江津匡士
撮影監督:蔭山周
撮影:工藤里沙
スチル:大山ケンジ
デザイン:野寺尚子
☆☆☆☆
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